ニュージーランド・ファーストと緑の党は、発電と小売を一体で手がける大手電力会社、いわゆる「ジェンテイラー」を二つの事業に分離するよう主張している。独立系小売事業者がより公正な条件で電力を購入できれば、競争が促され、家庭向け電気料金も下がる可能性があるという論理だ。しかし、分離後に料金や電力供給の安定性が実際にどう変わるかは、まだ確定していない。

背景と文脈

料金負担はすでに増している。ニュージーランド電力庁(뉴질랜드 전력청)は、2026年上半期に家庭と小規模事業者が支払った平均電気料金が6.8%上昇したと発表した。値上がり分の半分以上は送配電網の利用にかかるネットワーク料金の上昇によるもので、残りのかなりの部分を発電コストと小売マージンが占めた。

国民党(국민당)は最近のエネルギー政策で、ネットワーク費用に焦点を当て、送配電網会社の規制のあり方を見直すと約束した。一方、ジェンテイラーの分離には反対の姿勢を示した。ニコラ・ウィリス財務相は、分離は「甚大な不安定」をもたらすと主張した。

二つの事業を一社の中に置くことには、価格変動を和らげる効果がある可能性がある。ジェンテイラーは自社で発電した電力を顧客に供給し、必要な場合に限って卸売市場で電力を売買できる。独立系小売事業者は、顧客が使う電力のすべてを購入するか、契約によって確保しなければならない。

この違いは卸売価格が急騰したときに重要になる。水力発電用の貯水量が少ない場合や、ガスが不足している場合、あるいは電力需要が高い場合には、卸売価格が上昇する可能性がある。比較的安定した料金を設定している小売事業者は、販売収入が変わらない一方で、電力調達コストだけが大幅に増えることがある。長期契約によってリスクを抑えることはできるが、記事は、そうした契約には多額の費用がかかったり、リスクを完全にはカバーできなかったりする可能性があると説明している。

電気料金の値上がり分の半分以上がネットワーク料金によるものだったことから、発電・小売事業を分離するだけで、料金負担全体を解決できると断定するのは難しい。

このニュースが意味すること

分離案に期待される効果は、独立系小売事業者がより有利な条件で電力を確保し、競争を促すことだ。しかし、小売事業者の数が増えることと、消費者の最終的な料金が下がることは同じではない。分離後に発電会社と小売会社がそれぞれマージンを上乗せすれば、消費者が同じ電力に対して二重のマージンを負担するリスクもある。

価格変動リスクがどこに移るのかも検討しなければならない。発電と小売が分離されれば、発電会社は卸売市場で電力を販売することに注力できる。記事の筆者は、この場合、卸売価格を引き上げようとする誘因が強まる可能性があると分析している。これに対し、発電と小売を一体で運営する会社には、電力を調達しなければならない小売部門もあり、卸売価格の上昇がその部門の負担になる可能性がある。これは記事に示された分析であり、分離後に価格が必ず上がるという確定的な予測ではない。

投資と供給の安定性も、あわせて検討すべき論点だ。記事は、新たな発電設備には多額の初期資本と数年にわたる収益が必要であり、小売事業者には信頼できる電力供給が必要だと説明している。一社の中で発電部門と小売部門が結んでいる関係を分離すれば、その関係を契約によって新たに構築しなければならない。その契約が投資と供給を十分に支えられるかどうかは、記事では確定していない。

リスクが現実化する可能性を示す例として、記事は、2021~2022年の卸売エネルギー価格ショックの際に、英国で供給事業者29社が破綻したことを挙げている。ニュージーランドでも、2001年に卸売価格が急騰した際、ナチュラル・ガス・コーポレーション(내추럴 가스 코퍼레이션)は電力顧客を発電会社各社に売却した。ただし、これらの事例だけで、ニュージーランドで分離が同じ結果をもたらすと結論づけることはできない。

たとえば、分離後に独立系小売事業者が増えても、卸売価格が急騰する時期に電力調達コストを顧客料金にすぐ反映させるのが難しければ、事業者の収益が圧迫される可能性がある。この想定は、競争の拡大が直ちに安定した料金引き下げを保証するわけではない理由を示している。

関連する制度・支援情報

ニュージーランド電力庁は、ジェンテイラーと独立系小売事業者との契約を規制する「公正な競争の場」ルール(‘공정한 경쟁의 장’ 규칙)をすでに導入している。したがって政策論議では、分離するかどうかだけでなく、既存のルールが独立系小売事業者の競争環境や消費者料金に実際にどのような影響を与えているかも検討する必要がある。

記事が伝えるOECDの立場は、独立系小売事業者を支援する措置を支持するというものだ。ただし、国際的な優良事例として挙げたのは、競争事業である発電と小売を分離する案ではなく、独占的な性格を持つ送配電網と競争事業を分離する方法である。不可欠なインフラを所有する会社が、関連事業で競合他社より自社を優遇することを防ぐ趣旨として紹介された。この二種類の分離は対象も理由も異なるという点が、政策判断の核心だ。

確認できている事実と、まだ分からないこと

確認できている事実

  • ニュージーランド・ファーストと緑の党は、ジェンテイラーの発電・小売事業の分離を求めている。
  • ニュージーランド電力庁は、2026年上半期に家庭と小規模事業者の平均電気料金が6.8%上昇したと発表した。
  • 値上がり分の半分以上は、ネットワーク料金の上昇によるものだった。
  • 電力庁は、ジェンテイラーと独立系小売事業者との契約を規制する「公正な競争の場」ルールを導入した。

まだ分からないこと

  • ジェンテイラーを分離した場合、電気料金全体と電力供給の安定性が実際にどう変わるかは、記事では確定していない。
  • 分離された発電会社と小売会社が、卸売価格の変動リスクを管理し、発電投資を継続するための具体策は示されていない。
  • 競争拡大の効果が、ネットワーク料金や発電コストを含む家計の総料金にどの程度反映されるかも分からない。

読者が確認すべきこと

  • 分離案や代替案を比較する際には、小売事業者の数だけでなく、ネットワーク料金、発電コスト、小売マージンをそれぞれどう扱うかを確認する必要がある。
  • 卸売価格が急騰したときに、小売事業者が調達リスクをどう管理するのか、その負担が消費者料金や供給の安定性にどのような影響を及ぼすのかを確認できる。
  • 政策変更の成果を判断する際には、事業者の参入の有無にとどまらず、実際の料金や供給の安定性、発電投資まであわせて検討する必要がある。