2025年1月、浦項~三陟区間が開通し、釜山の釜田駅から江陵駅まで363.8㎞が鉄道でつながった。しかし、さらに北へ進み、北朝鮮の鉄道と接続する路線はまだ完成していない。江陵から襄陽・束草を経て高城の堤津までを結ぶ東海北部線は、2022年に着工し、工事が進められている。この区間が完成すれば、韓国国内の東海線をつなぐだけでなく、ユーラシア鉄道網へ続く韓国側の基盤となる可能性がある。
この路線が注目される理由は、鉄道を一本増やすことだけにとどまらない。地域の移動を改善する可能性に加え、道路に集中している貨物を鉄道に移して排出量を減らし、韓国の物流が大陸鉄道網とつながる選択肢を確保できるためだ。ただし、これは接続が実現した場合の可能性であり、現時点で韓国から北朝鮮・ロシアを経由して欧州まで列車が運行しているという意味ではない。
背景と文脈
北朝鮮の羅先とロシアのハサンの間では、2026年9月7日、両国初の自動車専用橋が開通した。羅津港~豆満江駅~ハサン駅を結ぶ約54㎞の鉄道もすでにあり、北朝鮮の標準軌(鉄道レール間の幅)1435㎜とロシアの広軌1520㎜を併用する複合軌間となっている。記事によると、この構造のおかげでロシアの貨物列車は羅津港まで乗り入れることができる。
中国とロシアは2026年5月の首脳会談の共同声明で、北朝鮮と豆満江の出海問題に関する3者協議を継続すると表明した。道路と鉄道の接続がともに存在し、豆満江河口をめぐる協議も続いていることから、この地域は北朝鮮・中国・ロシアの交通網が交わる地点として注目されている。ただし、こうした動きは、南北鉄道の接続や国際列車の運行が確定したことを意味するわけではない。
韓国側では、東海北部線が江陵から堤津までの110.9㎞の単線鉄道として計画されている。国家鉄道公団(국가철도공단)の2026年時点の現行事業資料に示された事業期間は2021~2029年だ。堤津で北朝鮮の鉄道と接続し、豆満江駅を経てロシアのハサン駅へと続くルートが実現すれば、東海線はシベリア横断鉄道に接続する韓国側の出発点となる可能性がある。
このニュースが意味すること
第一に、東海北部線は江陵以北の鉄道接続を補完する国内事業であると同時に、長期的には南北・大陸鉄道の接続に向けた基盤という二つの側面を持つ。釜山の釜田駅から江陵駅まで鉄道がつながった今、韓国側に残る未接続区間を結ぶことは、韓国東海岸の鉄道軸の連続性を高める可能性がある。しかし、北朝鮮区間を利用できなければ、ユーラシア物流軸は国内鉄道につながる構想にとどまる。
第二に、貨物輸送を道路から鉄道に移すことは、炭素排出の削減という面で意義がある可能性がある。政府が確定した2035年国家温室効果ガス削減目標(2035 국가온실가스 감축목표)では、運輸部門の排出量は2018年が9880万トン、2024年が9750万トンで、2035年の目標は3680万~3930万トンだ。韓国交通研究院(한국교통연구원)の分析では、貨物100万トンを1㎞輸送する場合の排出量は、道路が214トン、鉄道が7トンとされている。これは、同分析の条件下では鉄道の排出量が道路より少ないという意味であり、あらゆる輸送で鉄道が費用や速度の面でも優れているという意味ではない。
第三に、物流企業や製造業者にとって、鉄道は海運・航空以外に検討できる輸送手段となり得る。中欧班列は2026年5月に累計運行回数が13万回を超え、中国側の2026年7月の公式資料によると、中国の129都市と欧州26カ国の236都市を結んでいる。ただし、韓国の貨物がその鉄道網を利用するには、国内での集荷や港湾・鉄道との接続、国境通過など、輸送ルート全体を合わせて検討する必要がある。
鉄道が常に安いとは限らない。日本の国土交通省は2018年からシベリア横断鉄道を利用して、自動車部品や精密機器などを欧州まで輸送してきた。2020年の実証では、輸送費は海運の平均の約2.3倍だった一方、輸送期間はおおむね半分だった。たとえば、輸送時間の短縮が重要な貨物を扱う企業であれば鉄道の利用を検討できるが、費用と実際のルートも併せて検討する必要があることを示している。
韓国でも、ユーラシア方面への輸送が試験的に行われた。2024年には、五峰駅から釜山港と中国の連雲港を経由して中央アジアへコンテナを送る国際複合輸送が4回試験され、アルマトイまでは約6044㎞を19日、タシケントまでは約7010㎞を22日かかった。これは、南北鉄道が途切れていても、別のルートで中央アジアまで貨物を送れることを示す事例だが、将来の東海線ルートの輸送時間や費用をそのまま証明するものではない。
韓国内でも、港湾と鉄道の接続が貨物輸送に使われている。浦項の迎日湾港と浦項駅を結ぶ11.3㎞の引込線は2019年に開通し、貨物列車の商業運転は2020年に始まった。浦項市の資料によると、鉄道貨物の取扱量は2023年の6784TEUから2024年には2万1058TEUに増えた。ただし、この数値だけで取扱量増加の原因を特定したり、東海北部線の開通後の物流量を予測したりすることはできない。
確認された事実と、まだ分からないこと
確認された事実
- 2025年1月に浦項~三陟間の166.3㎞が開通し、釜山の釜田駅から江陵駅まで363.8㎞が鉄道でつながった。
- 東海北部線は江陵~襄陽~束草~高城・堤津を結ぶ110.9㎞の単線鉄道で、2026年時点の現行資料では事業期間は2021~2029年となっている。2022年の着工後、工事が進められている。
- 羅津港~豆満江駅~ハサン駅の鉄道は約54㎞で、北朝鮮の標準軌とロシアの広軌を併用する複合軌間となっている。
- 韓国交通研究院の提示した分析では、輸送量と距離を同じ条件にした場合、道路貨物と鉄道貨物の温室効果ガス排出量は、それぞれ214トンと7トンである。
まだ分からないこと
- 江陵~堤津の東海北部線は実際にいつ開通するのか。最終的な事業費はいくらになるのか。
- 南北鉄道の接続に向けた北朝鮮の鉄道の近代化や国境通関の課題は、どのような日程と方法で解決されるのか。
- 国際情勢と南北関係は、実際の列車運行を可能にする条件へと変化するのか。
読者が確認すべきこと
- 東海北部線の工事の進捗や事業期間の変更を確認するには、国家鉄道公団の現行事業資料を確認する必要がある。事業期間と実際の開通時期は同じ情報ではない。
- 貨物輸送を検討する企業は、鉄道と他の輸送手段の費用だけでなく、輸送期間、積み替えが必要な区間、港湾・産業団地と鉄道の接続状況も併せて比較する必要がある。
- 鉄道への転換による炭素削減効果を検討する際は、輸送ルート全体と輸送条件を確認する必要がある。提示された排出量の比較は、貨物100万トンを1㎞輸送する条件での分析結果だ。




















