ネイバー、レビューの不正操作疑いを警察に捜査依頼
韓国のインターネット企業ネイバーは10月4日、映画『暗殺者(たち)』の観客レビューをめぐり、機械的な不正操作があったことを確認したとして、警察に捜査を依頼したと発表しました。同社は、内部分析で一部の映画に異常な通信量を確認したと説明しています。
ここでいう「機械的な不正操作」とは、人が一つずつ操作するのではなく、プログラムなどを使って短時間に大量の評価や反応を登録する行為です。たとえば、同じ商品に多数の低評価を一斉に付けたり、特定の投稿に「役に立った」という反応を大量に集めたりすることが考えられます。
ネイバーは一部の映画で異常な通信が確認されたとし、関連する内容について警察に捜査を依頼したと明らかにしました。
星1つの評価と、5万件を超えた「共感」
問題が指摘されたのは、『暗殺者(たち)』の観客レビューと、そのレビューに付けられる「共感」「非共感」の反応です。共感数が多いレビューは一覧の上位に表示されやすく、映画を観るかどうか迷っている人の目にも触れやすくなります。
韓国の国会議員、ノ・ジョンミョン氏が公開した画面の画像によると、「中国人のアルバイトを動員したのか。国民を愚か者だと思っているのか」といった趣旨のレビューに、5万2288件の共感が付いていました。このレビューは共感数順の一覧で最上部に表示されていたとされています。
ノ氏は、映画に最低評価の星1つを付け、政治的な表現を使ったレビューに大量の共感を集める行為があったと主張しました。映画や制作関係者への攻撃にとどまらず、レビューを参考に作品を選ぶ一般の人の判断にも影響しかねない、というのが同氏の問題提起です。
表示順を「共感順」から「新着順」に変更
ネイバーは、問題が確認された『暗殺者(たち)』について、観客レビューの標準表示を一時的に「共感順」ではなく「新着順」にすると発表しました。共感数が不自然に増やされた場合でも、その数だけを理由に特定のレビューが上位に表示されるのを避けるための対応です。
また、映画の評価をまとめて表示する欄には、当面、専門家の評価だけを掲載するとしています。一般の観客やネットユーザーによる評価やレビューは削除するのではなく、従来どおり「観客レビュー」のページで閲覧できると説明しました。
- 『暗殺者(たち)』のレビューは、標準の表示順を一時的に新着順へ変更
- 映画の評価をまとめる表示欄には、専門家の評価のみを掲載
- 一般の観客やネットユーザーの評価・レビューは、観客レビュー欄で引き続き公開
以前から重複登録や集計の問題が発生
ネイバーは9月29日にも、一部の映画レビューが重複して登録されたり、共感・非共感の数が重複して集計されたりする問題があったと公表していました。同社は、影響を受けた映画の重複レビューを削除し、反応数についても重複分を取り除いて修正したと説明しています。
ノ氏は9月30日、ネイバーの説明は「レビューや共感数の重複反映」と表現しているが、実際にはマクロ(同じ操作を自動で繰り返す仕組み)を使った攻撃や操作だと主張しました。さらに10月2日には、組織的な評価攻撃と共感数の操作にマクロが使われた疑いがあるとして、ネイバーが容疑者を特定し、京畿南部警察庁のサイバー捜査部門に告訴したと説明しています。
ただし、現時点で公表されているのは不正操作の疑いと捜査依頼に関する情報です。誰がどのような方法で操作したのか、また特定の個人や団体が関与したのかは、警察の捜査などで確認される必要があります。疑惑の段階で関係者を断定することはできません。
映画の評価は、作品選びにも影響する
オンラインの映画評価は、作品を観る前に内容や評判を知るための手がかりとして広く使われています。たとえば、検索結果で高評価のレビューが何度も目に入れば、観客はその作品に多くの人が賛同していると受け取ることがあります。反対に、低評価や強い批判が目立てば、鑑賞を見送る人が出る可能性もあります。
そのため、星の数だけでなく、レビューをどの順番で表示するか、反応数をどう数えるかも、作品の受け止められ方に影響します。レビューが実際の利用者の意見を反映しているのか、同じ人物や自動化された操作によって膨らんでいるのかを、利用者が画面だけで見分けるのは簡単ではありません。
一方で、評価の操作が確認される前から、特定のレビューや低評価がすべて不正だとみなすことも適切ではありません。作品への批判や低い評価そのものは、観客が自由に表明できる意見です。問題となるのは、意見の内容ではなく、反応数や表示順位を不正な手段で操作し、実際より多くの人が支持しているように見せる行為です。
公開11日目に観客動員200万人を突破
『暗殺者(たち)』は公開から11日目にあたる10月3日、観客動員数が200万人を突破しました。作品が多くの人に観られるなか、レビューや評価の表示をめぐる疑惑も注目を集めています。
今後の焦点は、警察が不正操作の実態や関係者を特定できるかどうかに加え、ネイバーが評価システムの異常をどのように検知し、再発を防ぐかです。利用者にとっては、星の平均点や上位レビューだけを鵜呑みにせず、複数のレビューを読み比べ、投稿時期や内容も参考にすることが、作品を判断するうえでより確かな方法になります。



















