高齢期は、他者への依存、独立性の喪失、活動の低下と結び付けられがちだ。しかし、モントリオール大学(몬트리올대학교)都市計画・造園学部(도시계획·조경학부)の都市計画講師、セバスティアン・ロードは、こうした単純な見方が高齢者の多様な経験を覆い隠し、不適切な政策や介入、あるいは年齢差別につながる可能性があると指摘する。都市計画・都市研究分野の研究が示しているのは、高齢になっても移動は止まらないということだ。移動は健康状態や関心、周囲の環境に応じて変化し、適応していく。
背景と文脈
まず見直すべき通念は、退職すれば暮らしのペースが落ち、社会との関わりも薄れるという考えだ。仕事を辞めれば、人との接触が減ったり、果たすべき役割が少なくなったりすることはある。一方で退職とは、関心や社会的関係の変化に合わせて、優先事項や活動を組み立て直すことでもある。職場のスケジュールから解放された退職者の中には、余暇活動やボランティア、旅行、さまざまな日常の活動に時間を充て、徒歩や自転車で出掛けたり、公共の場所を訪れたりする回数を増やす人もいる。
年齢を重ねると、外出の回数が減ったり、移動距離が短くなったりすることがある。しかし、移動の量だけで暮らしの活発さを判断するのは難しい。日常の活動を続けるうえでは、店や医療サービス、緑地に近いかどうかのほうが重要になる場合があるからだ。反対に、店が近所から遠ざかったり、地域の経済状況が変わったりすれば、高齢者は必要な場所へ行くために、より長い距離を移動しなければならないこともある。移動とは、単にどれだけ遠くまで行くかではなく、日常生活や社会的なつながりを保つ方法でもある。
二つ目の通念は、運転をやめたら公共交通に切り替えればよいという考えだ。記事は、欧米社会の多くの高齢者にとって、自動車は単なる交通手段ではなく、アイデンティティーやライフスタイル、自由の意味を持つと説明する。75~80歳ごろになると、健康上の問題や反射神経の低下、家族・知人からの働きかけなどを理由に、運転を減らすことややめることを検討する人が多いという。だからといって、公共交通の利用がすぐに容易になるわけではない。
停留所まで歩くこと、悪天候の中で待つこと、車両に乗り降りすること、デジタル乗車券を使うこと、複雑な乗り換えをすることなどが障壁になり得る。特に歩行が難しくなると、こうした一連の動作が公共交通の利用を困難にしたり、不可能にしたりすることがある。記事は、相乗り、運転手を雇う方法、家族・知人の支援、デマンド型交通、タクシー、地域のシャトルバスなどを選択肢として挙げる。公共交通の利用方法を学ぶワークショップや講習も、移行を支える方法として紹介している。
三つ目の通念は、年を取ったら、より適した住まいに引っ越すべきだという考えだ。記事によると、自宅の機能が十分でなくても、自分の家に住み続けることを選ぶ高齢者は80%を超える。家は単なる居住空間ではなく、思い出や愛着、安心感、慣れ親しんだ感覚が積み重なった場所でもあり、より適しているとされる場所への転居は負担になり得るという。一方、75~80歳の間に移動が難しくなったとき、新しい住まいに移ることも対処法の一つになり得る。
このニュースが意味すること
この三つの通念をあわせて考えると、高齢者の移動や住まいを、ひとつの標準的な道筋に沿って設計するのは難しいことが分かる。退職後も外での活動を増やす人がいる一方、外出の回数や距離を減らしながら、慣れ親しんだ生活圏を保とうとする人もいる。運転を続ける人と減らす人、自宅に住み続けたい人と転居を選ぶ人では、必要とするものも異なる場合がある。したがって、移動を「ニーズを満たす問題」としてだけ捉えるのではなく、本人の好みや目標、周囲で利用できる資源もあわせて考えるべきだというのが、記事の核心だ。
たとえば、運転を減らそうとしている人が停留所まで歩くのは難しく、乗り換えも複雑に感じているなら、公共交通だけを代替手段と想定しても、移動の選択肢を十分に説明したことにはならない。相乗りや家族・知人の支援、タクシー、地域のシャトルバスなど、ほかの方法がその人の暮らしに合うかどうかもあわせて検討できる。これは、特定の一つの手段が誰にでも適しているという意味ではない。運転を減らす過程が孤立や移動の断絶につながらないよう、選択肢を検討すべきだということだ。
住まいについても同じことが言える。自宅に住み続ける選択を尊重することと、転居を選べるようにすることは、相反する目標ではない。記事は、地域社会の中に魅力的で包摂的かつ負担可能な住まいの選択肢が多様にあってこそ、実質的な選択が可能になると主張する。また、アクセシビリティーだけを基準に、固定的なニーズに応じて空間を分けるのではなく、高齢者が自分の目標や好みに合わせて移動し、暮らしを組み立てられる環境が重要だとする。歩きやすい地域や「15分都市」といった構想も、住まいや交通にとどまらず、社会参加や生活の質の問題につながるという。
確認できた事実と、まだ分からないこと
確認できた事実
- 記事の執筆者、セバスティアン・ロードは、モントリオール大学都市計画・造園学部の都市計画講師だ。
- 記事は、高齢になっても移動は止まるのではなく、健康状態や好み、地域の資源に応じて変化し、適応すると説明している。
- 退職後に余暇活動やボランティア、旅行などに時間を使い、徒歩や自転車で出掛けたり、公共の場所を訪れたりする回数を増やす人もいると伝えている。
- 自宅の機能が十分でなくても、自分の家に住み続けることを選ぶ高齢者は80%を超えると記事は伝えている。同時に、75~80歳の間の転居を、対処法になり得る選択肢として説明している。
まだ分からないこと
- 自宅に住み続けることを選ぶ人の割合が80%を超えるという調査が、どの国や地域を対象にしたものかは記事から確認できない。
- 75~80歳ごろに運転を減らしたり、転居を検討したりするという説明の根拠となった調査や、標本の規模も示されていない。
- 高齢者の間でそれぞれの選択がどれほど一般的なのか、地域によって交通・住環境がどう異なるのかについて、記事は具体的な数値を示していない。
読者が確認したいこと
- 生活圏を検討する際には、自宅から店、医療サービス、緑地までの距離や、実際の移動経路が自分に合っているかを確認できる。
- 運転を減らす可能性を考えているなら、停留所まで歩くこと、待つこと、乗り降り、乗車券の購入や乗り換えを含め、公共交通を利用する一連の過程を確認できる。必要であれば、記事が挙げる相乗り、家族・知人の支援、タクシー、地域のシャトルバスなど、別の選択肢もあわせて検討できる。
- 現在の家に住み続ける方法と転居する方法のどちらが、自分の暮らしや好みに近いかを検討できる。転居を考える場合は、地域社会に魅力的で包摂的かつ負担可能な選択肢があるかどうかを確認できる。




















