ロバート・エイブラムス元在韓米軍司令官は5日、ワシントンDCの戦略国際問題研究所(전략국제문제연구소、CSIS)のセミナーで、戦時作戦統制権(전시작전통제권、戦時作戦統制権)の移管は、定められた日程よりも条件を満たすことが重要だと述べた。条件を満たす前に恣意的に時期を決めれば、韓国軍の作戦上の不備が隙として残り、対北朝鮮抑止力と防衛力を弱めるおそれがあると警告した。李在明政権が任期中の移管を推進し、内部では早ければ来年か再来年に完了できると判断しているとの報道もあり、移管の速度と準備水準が争点として浮上した。

背景と経緯

戦時作戦統制権とは、戦時に軍事作戦を統制する権限だ。韓米が合意した移管条件は三つある。韓国軍が連合防衛を主導する軍事能力を備えること、同盟が北朝鮮の核・ミサイルの脅威に包括的に対応する能力を確保すること、そして安定した移管にふさわしい朝鮮半島および地域の環境が整うことだ。

エイブラムスの主張は、これらの条件を満たすプロセスと、政治的に望まれる移管時期を区別すべきだという点にある。条件に基づく計画は連合防衛と抑止力を強化するために設けられたものであり、日程に合わせて移管するやり方は根本的にリスクを高めると述べた。つまり、移管日を決めるだけで軍事的な準備が完了するわけではないという警告だ。

また、韓国政府が2020年に移管条件を92%満たしたと明らかにしたことについても、事実ではなく、当時の数値は92%を大きく下回っていたと主張した。移管条件にはなお多くの不備があると、かなり確信しているとも述べた。ただし報道には、彼が指摘した不備の具体的な項目や、現在の評価水準は示されていない。

移管の目標時期をめぐっては、ジェイビア・ブランソン在韓米軍司令官が昨年、米議会の公聴会で、条件達成の目標時期として2029年第1四半期を提示した。この目標と、韓国政府が任期中の移管を推進しているとの報道は、異なる日程が議論されていることを示している。しかし、目標時期は条件が実際に満たされたとの確認と同じではない。

このニュースが意味すること

戦時作戦統制権の移管は、韓国軍が連合防衛を主導する能力、韓米同盟の対北朝鮮対応、在韓米軍の運用に影響を及ぼし得る問題だ。エイブラムスが強調したリスクは移管そのものではなく、重要な能力が確保されないまま日程が準備に先行した場合に生じ得る防衛の空白だ。一方、彼の発言だけで現在の韓国軍の準備水準を断定することもできない。具体的な評価資料が報道にないためだ。

主権と軍事的準備の間にある論争も表れている。エイブラムスは、主権を確保するために急ぎたい気持ちは理解するとしながらも、主権を強調する声は韓国主導の軍隊による一方的な行動を望んでいるというのが自身の見解だと述べた。そうした動きは、現在の二国間協力のプロセスが終わることを意味すると付け加えた。これは彼の解釈であり、この発言自体が韓国政府の意図や、韓米間で合意された政策を確認するものではない。

在韓米軍の問題も別に考える必要がある。エイブラムスは、戦時作戦統制権の移管と在韓米軍縮小の可能性が、北朝鮮の誤算につながり得ると警告した。米国は重要ではあるが限られた戦力を提供する意思を示しており、韓国内の米軍配備に変化があるとのシグナルも発信されていると述べた。ただし、どのような変化が検討されているかは報道から確認できない。

彼が挙げた、誤解・誤算・ミスという三つの「ミス」は、移管時期をめぐる議論が軍事能力の評価だけにとどまらないことを示している。当事者が相手の意図や防衛態勢を誤って判断すれば、緊張が高まる可能性があるというのが彼の警告だ。例えば、移管時期が前倒しされたというシグナルを北朝鮮が韓米の防衛意志の弱まりと誤解すれば、緊張管理の負担になり得る。これは起こり得る状況を説明した仮定であり、そのような誤解が実際に起きたという意味ではない。

関連制度・支援情報

この問題について読者が確認すべき制度上の基準は、韓米が合意した三つの移管条件だ。第一は連合防衛を主導する韓国軍の軍事能力、第二は北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する同盟の包括的な対応能力、第三は安定した移管にふさわしい朝鮮半島および地域の環境だ。報道はこれらの条件を示しているが、各項目をどのような詳細基準で評価するのか、誰がどのような手続きで達成の有無を判断するのかは説明していない。

したがって、特定の年や四半期を移管目標として示すことと、三つの条件を満たしたとの判断は区別して読む必要がある。エイブラムスは、移管の決定は政治家と外交官が行い、現場の指揮官はリスクを減らし、抑止力と防衛力を強化するための軍事的助言をすべきだと述べた。彼の説明によれば、政治的決定と軍事的評価はそれぞれ異なる役割を担うが、実際の評価手続きや決定プロセスの詳細は、この報道だけでは分からない。

確認された事実と、まだ分からないこと

確認された事実

  • エイブラムスは5日、CSISのセミナーで、日程よりも条件を満たすことが重要だと述べた。
  • 韓米が合意した戦時作戦統制権の移管条件は、軍事能力、北朝鮮の核・ミサイルへの対応能力、安定した朝鮮半島および地域の環境の三つだ。
  • 李在明政権は任期中の移管を推進しており、内部では早ければ来年か再来年に完了できると判断しているとの報道があった。
  • ブランソン在韓米軍司令官は昨年、米議会の公聴会で、条件達成の目標時期として2029年第1四半期を提示した。
  • エイブラムスは、戦時作戦統制権の移管と在韓米軍縮小の可能性が北朝鮮の誤算につながり得ると警告した。

まだ分からないこと

  • 韓国軍に残っているとされる作戦上の不備の具体的な項目と、現在の評価水準は何か。
  • 韓米は各移管条件の達成状況を、どのような手続きと基準で評価するのか。
  • 韓国内の米軍配備について、どのような変化が検討されているのか。

読者が確認すべきこと

  • 移管の目標時期が示された際、三つの条件それぞれの達成状況と評価根拠があわせて公表されるか、確認する必要がある。
  • 元司令官の警告と政府の政策判断では、発言者と根拠が異なる。そのため、エイブラムスの評価を確定した韓米共同の判断として受け取らないことが重要だ。
  • 在韓米軍の配備変更が言及された場合、実際に確認された決定なのか、それとも変更の可能性を示唆する発言なのかを区別して見る必要がある。

参考資料