1. ひとりの市民に起きたこと

春の午後、キム・ミレさんは自宅近くの公園に敷物を広げ、日光浴を始めました。暑さを避けるため上着を脱いで過ごしていたところ、警察から「過度な露出」に当たるとして、軽犯罪処罰法に基づく通告を受けます。ミレさんは、上半身を脱いだだけで犯罪になるとは思えず、反則金を納めませんでした。

その後、警察署長の申立てを受けた裁判所は、ミレさんに罰金5万ウォンを言い渡しました。しかし、ミレさんはその判断にも納得できず、正式裁判を求めます。争いの焦点は、彼女の行為が「過度」だったかどうかだけではありません。そもそも、何をすれば処罰されるのかを法律が市民に分かるよう定めていたのか、という問いが浮かび上がりました。

2. 問われるのは「露出」ではなく、法律の明確さ

ミレさんは、正式裁判で無罪を主張するとともに、処罰の根拠となった軽犯罪処罰法の規定が憲法に反すると主張できるのでしょうか。また、その規定が違憲と判断された場合、すでに罰金を言い渡された事件はどうなるのでしょうか。

3. 韓国法が定めていること

問題となったのは、2012年3月21日に全面改正された韓国の軽犯罪処罰法第3条第1項第33号です。同号は、多くの人の目に触れる場所で公然と、裸を過度にさらしたり、隠すべき部分を露出したりして、他人に恥ずかしい思いや不快感を与えた人を、10万ウォン以下の罰金、拘留または科料に処すると定めていました。

「過度に」「隠すべき部分」「恥ずかしい思いや不快感」といった言葉だけでは、どのような行為が犯罪となるのかを明確に判断できるとは限りません。

韓国憲法が求める罪刑法定主義には、何が犯罪で、どのような刑罰が科されるのかを法律で定めるというだけでなく、その内容を市民があらかじめ理解できる程度に明確にするという原則が含まれます。処罰される範囲が曖昧だと、市民は行動の結果を予測できず、捜査機関や裁判所の判断に過度に委ねられてしまうからです。

憲法裁判所は2016年11月24日、事件番号2016헌가3の決定で、この露出禁止規定を違憲としました。裁判所が問題にしたのは、主に次の点です。

  • 「裸を過度にさらす」とは、どの程度の露出を指すのか分かりにくい。
  • 「隠すべき部分」がどの身体部位を意味するのか、条文からは特定しにくい。
  • 何を「恥ずかしい」「不快」と感じるかは人によって異なり、その感覚を基準に露出の程度や隠すべき部分を決めるのも難しい。
  • 禁止される身体部位を例示したり、具体的に列挙したりすることが立法技術上不可能、または著しく困難だったとはいえない。
罪刑法定主義の明確性原則は、処罰の対象を市民が予測できるよう、法律が犯罪の範囲を具体的に示すことを求めます。

違憲判断の効果も重要です。韓国憲法裁判所法第47条第3項により、違憲とされた刑罰法規は、違憲決定の時点からだけでなく、遡って効力を失います。その規定を適用して訴追された行為は、刑事訴訟法上「犯罪とならない」ものとして、無罪判決の対象になります。

4. 韓国の裁判所はどう考えるか

韓国の裁判所は、刑罰法規について、行政上の規制などよりも明確さを厳しく求めます。人の感情や社会の常識を考慮すること自体が許されないわけではありません。しかし、それらの言葉だけに頼り、何が犯罪になるのかを個々の取締りや裁判の場で決めるような仕組みには慎重です。

とりわけ、身体のどの部分をどの程度見せれば処罰されるのかを法律が明確に示すことは、立法者にとって不可能ではないと憲法裁判所は考えました。処罰の対象を具体化できるのに、曖昧な表現のまま市民に刑罰を科すことは、明確性原則に反するという考え方です。

また、違憲判断が出た刑罰法規が適用された係属中の事件では、裁判所はその規定を有効な処罰根拠として扱えません。行為が社会的に好ましいかどうかを判断するのとは別に、法律上犯罪として処罰できるかを判断する必要があります。

5. ミレさんの事件に当てはめる

第一に、ミレさんが罰金を言い渡された根拠は、まさに憲法裁判所が違憲とした軽犯罪処罰法第3条第1項第33号です。違憲判断は、条文の一部の言葉だけでなく、この露出禁止規定そのものを対象としています。

第二に、ミレさんは罰金の判断に対して正式裁判を求めており、事件はまだ争われています。したがって、正式裁判では、処罰の根拠となった条文が違憲とされていることを主張できます。違憲判断がすでに存在する以上、同じ規定について改めて違憲かどうかを一から争う必要はありません。少なくとも、裁判所はその規定を有効な刑罰法規として適用できません。

第三に、刑罰法規の違憲判断は遡及します。ミレさんの行為が違憲決定より前にあったとしても、その時点の行為を処罰する根拠は遡って失われます。問題は「公園で上半身を脱ぐ行為が、一般に誰かを不快にさせるか」ではなく、違憲とされた規定によって彼女を犯罪者として処罰できるかです。

その結果、正式裁判では、ミレさんの行為について「犯罪とならない」として無罪を言い渡すのが筋です。これは、どのような露出でも常に許されるという意味ではありません。別の有効な法令が適用される場合や、異なる事情がある場合まで一律に結論づけるものではありません。ここでの結論は、あくまで違憲とされた当該規定を根拠に処罰できない、ということです。

6. 結論――ミレさんの無罪と、同じ状況にいる人への助言

ミレさんは、正式裁判で違憲判断を主張できます。2016年の違憲決定により、この露出禁止規定は刑罰法規として遡って効力を失いました。したがって、彼女の事件では同じ条文を根拠に有罪とすることはできず、無罪が見込まれます。

同じような処分や裁判に直面したときは、次の点を確認してください。

  1. 処分の根拠となった条文と、手続の現在地を確認する。 通告を受けた段階なのか、略式・即決の判断が出た段階なのか、正式裁判が続いているのかで、取るべき手続が異なります。
  2. 違憲判断の内容と裁判書類をそろえる。 適用された条文、通告書、裁判書や申立書を整理し、刑罰法規の違憲判断が自分の事件にどう関係するかを弁護士や法律相談窓口に確認しましょう。
  3. すでに裁判が確定している場合は、係属中の事件と同じ扱いだと決めつけない。 遡及効が問題になる場合でも、確定判決後の救済手続には別の要件や期限が関係することがあります。早めに専門家へ相談することが大切です。